護符と呪文
中国の入山符というのは聖なる深山幽谷に入山するに際し、悪鬼・兵凶や毒虫・蛇害を避けるおまもりでした。
道教の護符は、右の道士入山符にはじまり、それがだんだん民間にひろまって一般的な貼り護符になったのは、唐の政治が崩れて後、宋の時代に入ってからでした。
中国の護符についての私の知識は甚だ貧弱で、それ以上の知ったかぶりを書く勇気はありません。
幸い専門研究家の井上紅梅氏が『支那符呪考』と題して書かれていますから、その概論の部分を次に要約してみましょう。
・・・道教信者の神に対する概念は、人間には皇帝がある。
文武の大官がある。
地方官がある。
裁判官がある。
善人がある。
悪人がある。
外敵があると同様に、天上にも種々の行政機関や階級があって、善神は人間の生前死後を支配し、天上から追放された悪神は、常に人界に入りこみ、病気・災難・凶作・兵乱等あらゆる災害をあたえるので、道士は善神にたのんでこれらの悪気・妖魔を祓い、神にかわって勅令を発し怨敵を退散させるのである・・・。
・・・こういう必要から護符が発明され呪文が付いているので、これを符呪といいます。